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「年金保険」の広告2つの機能はオマケ程度のものと考えていいでしょう(例外はつぎの商品で紹介します)。
投資型年金保険の運用について、広告の図には「特別勘定(ファンド)で資産を運用します」と書かれています。
この年金保険を開発した保険会社が運用するのかというと、たいていの場合、特別勘定として各種の投資信託(ファンド)が用意されており、客がその中から選んで運用します。
そのため、それぞれの投資信託を運用している会社に資産を託すことになります。
年金保険という名前がついているものの、本質は株式投資信託″なのです。
新聞広告やテレビCMなどをみていると、いろいろな銀行が投資型年金保険の販売に力を入れていることがわかります。
しかし、銀行の窓口で勧誘されて、投資型年金保険に加入すると、販売した銀行、年金保険の引受先の保険会社、各投資信託を運用する会社のそれぞれに手数料を支払うことになります。
逆からみれば、それらすべての金融機関が十分に手数料を取れるよう設計された商品なのです。
客としては、手数料がかなり割高にならざるをえない構造の金融商品であると認識すべきです。
じつは、特定の狙いをもって投資型年金保険(変額年金保険)に加入する人も多くいます。
新聞広告などでも、その点をアピールしていることがありますが、いろいろな意味で相続対策(特に、相続税を節約するため)に利用できるのです。
所得税の生命保険料控除を利用した節税メリットを狙う人もいます。
しかし、「変額年金保険を活用して相続対策をしましょう」という話を聞くと、筆者は、先に紹介したバブル崩壊後の事例を思い出し、正直なところ恐怖さえ感じます。
もちろん、「あれはローンを組んでまで契約させるという手法が悪かったのであって、うまく使えば、変額年金保険は相続対策に有効なんだ」との意見があるのは、十分に承知しています。
「銀行や生命保険会社も、あのときのような変額年金保険の売り方はしないはずだ」とみる人の方が多数派なのかもしれません。
でも、最近の銀行の、外貨預金やオプション取引をセットにした商品などの売り方をみていると、金融商品販売の基本的な技能は、10?20年前よりも劣っているように思えます(これは筆者の個人的見解ですが)。
だから、変額年金保険で相続対策と聞くと、いつかそれがエスカレートして惨劇がくり返されるのではないかと、やはり心配になります。
そもそも、たっぷり手数料を取られる金融商品で相続対策や節税をしても、手数料でムダに資産が減る分だけ効果が薄いように思うのですが、いかがでしょうか。
「税金で取られるぐらいなら、生命保険会社や銀行に取られる方がマシ」と考える人がいるかもしれませんが、税制や税務当局の判断が変更されたりすれば、「生命保険会社にも銀行にも手数料を取られた上で、結局は税金も取られてしまう」という危険性もあります。
「年金保険」の広告とはいえ金融機関側としても、相続対策でしか売れないようでは、販売増強に限界があります。
そこで、保険機能をもっと魅力的にした商品も売り出されています。
「ステップアップ型死亡保障」の説明がありますが、これがこの変額年金保険の一番の売り物です。
ラチェット型死亡保障などと呼ぶこともあります。
「死亡保険金(死亡給付金)の最低保証額を見直す仕組み」のことです。
この商品では、1年ごとに、その時点の積立金とそれまでの死亡保障を比較し、金額が大きい方が最低保証額になります。
その上で、もし加入者が死亡したときには、一時払保険なお、株式投資信託などで運用すれば、資産が減ってしまう危険性もありますから、運用期間中に加入者が死亡した場合に、死亡給付金として元本金額が保証されているのは、それなりに有利な保険機能にみえるかもしれません。
しかし、最初に支払った金額を保証してもらうために費用を支払うのですから、やはり、さほど有利な機能には思えません。
この保険機能についても、相続対策として契約する人にとっては、魅力的なのかもしれません。
運用期間中に死亡することが十分にありうる年齢で契約し、その場合に死亡給付金として家族におカネを遺すことが大切なのですから、少し費用を支払ってでも、元本金額が保証されている方が安心なのでしょう(本当に安心できるかについては、あとで検討します)。
現実には、最低保証額をもっと細かく、3ヵ月ごとに見直すタイプなどもあります。
ステップアップ型死亡保障の充実を売り物にして、販売競争に勝とうとする保険会社もあるのです。
ここまでの保険機能があれば、いくら口の悪い筆者でも、これをオマケとは言えません。
客にとってかなり魅力的な機能であることを認めましょう。
ところが、ステップアップ型死亡保障のついた変額年金保険は、1990年代からアメリカで売られていて、すでに大量に契約がなされています。
それで何が起きたかというと、数年前から日本の新聞でも何度か報道されましたが、保険会社の経営が悪化したのです。
よく考えれば当然なのですが、たとえば当初元本が1000万円であるとして、途中まで運用がうまくいって、最高で1400万円まで資産が増えたとして、そのあと株価下落によって運用に失敗し、資産が800万円まで大きく目減りしたとしましょう。
加入者が死亡した場合には、最高時の1400万円と現在の800万円の差である600万円を保険会社が補填して、1400万円の死亡保険金を支払う必要があります。
ステップアップ型死亡保障さえなければ、保険会社の負担は200万円ですみますが、この機能をつけたために、保険会社の負担は600万円にまで増えています。
この数値例は極端なようにみえますが、たとえばバブルが生じて株価がどんどん上がったあとで、バブルが崩壊して株価が急落すれば、ステップアップ型死亡保障つきの変額年金保険を大量に引き受けていた保険会社は、多額の潜在的な負担(隠れ債務)を抱えることになります。
とにかく、株価が大幅に変動すると、保険会社の経営を圧迫してしまうのです。
それが現実のものとなったアメリカでは、変額年金保険(投資型年金保険)の販売においてアメリカでも日本でもよく知られた保険会社でさえ、巨額の債務処理をしたり、販売を抑制せざるをえなくなったりと、対応に追われました。
いくら客に有利な機能を提供しても、それで保険会社が破綻してしまえば、結局のところ、その機能は意味をなくし、客は大損をします。
このタイプの商品では、そもそも、客に有利な商品設計が無理なのかもしれません。
読み、つぎのクイズの設定にしたがって、商品を評価してください。
あなたの身近にいる45歳前後の男性が、老後の資金として2000万円を超える定期預金をもっていて、60歳前後まで使う予定はなく、これから15年以上の運用が可能です。
来月には定期預金が満期になるのですが、「元本はなるべく減らしたくないものの、低金利の中で、何とか定期預金よりもう少し有利な運用ができないか」と考えていたところ、取引銀行からこの2つの年金保険を紹介され、契約を検討しているようです。
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